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第1367回 葉酸というビタミンについて

葉酸と言えばかつては注目されることがほとんどない、いつもビタミンB12の付け合わせのように扱われてきたこともありますが、この10年ほどで、日本を含む世界中の女性に注目されるビタミンになりました。
そ の背景には、胎児の神経管欠損(NTD:Neural Tube Defect)を葉酸が予防してくれるという研究発表から火がついたものでした。日本でも妊娠が確認された女性に対して産科医は葉酸を摂るように勧めることが日常的になってきました。
葉酸の働きは非常に重要で、ビタミン12とともに赤血球の生産に不可欠で あるとともに、 DNAの合成にも不可欠なビタミンでもあります。
2010年、アメリカのTufts大学、チリの病院、ノルウェーの研究機関などの研究報告では、大量の葉酸を日常的に摂取することで、乳がん、大腸がん、肺 がんのリスクが最大で21%増加するというショッキングな内容が報告されましたが、結論からいえば、1日あたり400マイクログラムまでの葉酸であれば問題にはならな いと、これらの研究チームは報告しています。
葉酸には合成されたものと天然型のものが存在しますが、合成されたものは一般に「Folic Acid」、天然型のものを「Folate」と区別しています。つまり、一般にサプリメントで摂取する「葉酸」は合成されたFolic Acidで、緑黄色野菜などの食材に含まれている「Folate」とは形が異なるということです。
葉酸は1930年にビール酵母とホウレンソウから、はじめて天然型として抽出されました。 このときの葉酸は「Folate」で現在の「Folic acid」ではありませんでした。しかし、Folateは空気に触れることで安定性が失われ、不安定な形になってしまう欠点があるために、1943年にア メリカの化学薬品製造会社(American Cynamid Corporation)によって、Folic acidとして合成結晶化され現在に至ります。
このFolic acidはFolateを完全に酸化した状態の葉酸で、非常に安定した葉酸ではありますが、ホウレンソウ、酵母、緑黄色野菜、オレンジ、グレープフルーツ、ヒマワリの種などに含まれる天然型の葉酸(Folate)とは異なる物質でもあります。
私の師匠でもあるDr. ライトは、この数年、ホルモンをはじめとしてビタミンや酵素については、人間を含む動植物が持つ(または作る)ものと、人間が合成するものでは、多くの場合 その構造が異なるだけでなく、体内での働きが大きく異なることから、人間の細胞組織の働きには天然型のホルモン、ビタミンなどが最も適しているとコメントしています。Dr.ライトはこれを「Bio Identical」という言葉で表現しています。
Dr. ライトは、前述のように、天然型のFolateは確かに不安定な形ではあるが、少量のFolateでは、自然の酸化還元によって、安定した状態を保つこと ができると言います。加えて、人間が体内で利用できる(作用する)葉酸の形はFolateであることから、合成されたFolic acidはそのままの形では体内で作用する形ではなく、Folic acidは体内で再びFolateの形に転換される必要があると言います。また、体内でFolic acidをFolateに代謝転換する能力は、加齢とともに低下してくるという研究報告があり、Folic acidとして摂取した葉酸は、加齢とともに、体内で利用できる天然型のFolateに転換代謝されず、血中の葉酸(Folic acid)濃度が高くなる可能性があるとコメントしています。
Dr.ライトは、細胞組織が正しく機能するためには、Folic acidではなく、天然型のFplate葉酸を摂取することを考えるべきだ、とコメントしています。さらに、妊娠を予定しているまたは妊娠初期の女性で は、積極的に天然型の葉酸(Folate)が豊富に含まれた緑黄色野菜、オレンジ、グレープフルーツなどの食材を摂取するべきだと言います。妊婦だけでなくリウマチの治療を行っ ている患者で葉酸を処方されるケースでも同様だと思います。
by nutmed | 2014-10-08 15:25