2015年 01月 08日
第1378回 遺伝子組換食材の影響―自閉症―
昨年秋からの私の研究テーマであるメチル化(メチレーション)の文献リサーチを行っていた年末に見つけた非常に興味深い研究報告です。
アメリカのマサチューセッツ州ボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)でコンピューターサイエンスの博士号を持つ研究者、Dr.Stephanie Seneffが集めたデータを統計解析したものですが、GMOを栽培する過程で使用される農薬の主要成分であるグリホサートの使用量、使用作付耕作地面積の増大と、小児自閉症の発生率が相関関係あるという報告です。

(出典:http://scienceblogs.com/insolence/2014/12/31/oh-no-gmos-are-going-to-make-everyone-autistic/)
私がこの報告に注目したのは、グリホサートには植物が体内に持つ「シキミ酸回経路に多大な影響を与えることで、植物が作る芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン及びトリプトファン)の反応を阻害する点です。人間の営みには必須のこれらのアミノ酸を作り、我々に供給してくれるバクテリアにも、植物と同様にシキミ酸経路を持つため、GMO食材に残存するグリホサートが腸の粘膜上に繁殖する腸内細菌にも影響を及ぼし、多くの乳幼児が自らの腸内細菌によって供給されるはずのこれらの芳香族アミノ酸の供給ができなくなるという報告です。
これらのアミノ酸が不足することは、自閉症症状の発症増加だけではありません。
例えばチロシンですが、チロシンはメラニン色素の合成に不可欠なアミノ酸のため、紫外線による肌のトラブルた白髪になる可能性が高くなります。また、チロシンは甲状腺ホルモンの原材料のひとつですので、成長期の子供が体内にチロシンが不足することによって、成長・発達障害を引き起こすリスクが高くなります。
トリプトファンの不足は、ナイアシン欠乏症とも言われる「ペラグラ」を招くリスクが高くなります。ナイアシン)ビタミンB3)は、トリプトファンによって体内で合成されるため、材料のトリプトファンが不足することで、皮膚炎、下痢と認知症などが主症状のペラグラを招きます。また、トリプトファンから合成されるセロトニンとメラトニンの不足を招くことで、情緒不安、睡眠障害などの症状を招くことにもなります。
私自身100%、自閉症の発症率増加がグリホサートの影響なのかについては、今少し今後の研究に期待するところでもありますが、彼女の報告から推測すると、2025年までには小児の2人に1人が自閉症になっても不思議ではない状況だということです。