第1383回 糖質制限と消化分解

私の栄養カウンセリングを受けにこられる女性、特に栄養と健康に興味をお持ちの女性からよく聞かれる質問があります。「先生は糖質制限についてどう思われますか?ダイエットや健康管理には欠かせないと言われてますけど」以前に比べて少なくはなりましたが、相変わらず世の中では糖質制限、スーパー糖質制限がもてはやされているような気がします。
私の答えですが、10歩譲って、重篤な2型糖尿病で、食事管理で圧倒的に血糖をあるレベルまで下げることが可能と思われる人には糖質を一時的に制限することは有効な手段かもしれません。
しかし、多くの生き物のエネルギー源である糖分を、不必要に、むやみやたらに制限コントロールして低下させることは、エネルギーの枯渇もさることながら、ホメオスタシスという平衡維持機能によって、下がった血糖を上昇させるための仕組みにスイッチがはいることになります。
その最大の機能が膵臓でつくられるグルカゴンというホルモンです。グルカゴンは低下した血糖を上昇させるために生産され分泌されます。ここまではまだしも、グルカゴンは単純に血糖を上昇させる作用を持ったホルモンではなく、胃酸の分泌を抑えてしまう働きを持ったホルモンでもあります。また、同時にコルチゾール、アドレナリンも上昇させることになります。
このグラフを見てもらうとわかるように、通常の生活環境における空腹時血糖が90-100mg/100mlだと考えると、空腹から食欲が出始める頃のグルカゴンレベルは胃酸の分泌を阻害するものではありませんが、血糖値が下がるに従ってグルカゴンは上昇し、胃酸の分泌を抑えに入ります。
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糖質制限食を進めている人の多くが、高タンパク質食をチョイスしているようですが、アミノ酸まで分解するために不可欠なタンパク質分解消化酵素の1つペプシンは、胃酸がで酸度にさらされてはじめてペプシノーゲンが変化して作られる消化酵素です。また、グルカゴンが上昇してアドレナリンが上昇することで、腸内細菌の繁殖は旺盛となり、LGSをはじめとする腸壁からのタンパク質栄養吸収障害にも陥る可能性はぬぐえません。
したがって、私の栄養カウンセリングにこられて、糖質制限の事を聞いてこられるクライアントには、少なくとも、自分の消化分解に不可欠の胃酸と酵素の生産能力を確認もせずに、糖質制限に突入することがどれだけリスクを負うことになるかを理解していただくことからスタートしています。
by nutmed | 2015-02-04 08:19