第1391回 腸の働き

週末の陽気で桜前線が一気に動き出したようです。
東京でも横浜でも、ここ川越でも、流行に敏感なソメイヨシノが1つ2つと、薄いピンク色の花を咲かせ始めました。今週は少し気温が低くなる予報ですが、今週末にかけて、そこかしこから桜の開花情報が寄せられることでしょう。 木に花を咲け咲かせる植物は見ごたえがあるのと同時に、気持ちを穏やかにさせてくれる効果があるようです。
さて、今日の話題は、腸内細菌についてです。 最近、NHKの特集でも話題になった腸内細菌ですが、一時的な話題で終わらせることなく、日常的に自分の腸内最近の環境に注目して欲しいものです。
日本人は何故、腸内環境や乳酸菌のことばかり注目するのか。最もほとんどがマスコミや企業の戦略なのでしょうが。食物の物理的分解も行い、一部の栄養素の吸収も行っている立派な消化器官です。 腸と同様に膜1枚で外界とのコミュニケーションを行っている口腔内のバクテリアの環境はもっと注目されるべきだと思います。もちろんその意味では、口腔内バクテリアのコントロールにも乳酸菌やそれらが作るタンパク質のバクテリオシンは非常に有効だと考えられます。
口の中にできるカンジダ菌による口腔カンジダ菌症は、腸や女性の膣内に繁殖するカンジダ菌(Candida albicans)と同じ真菌です。カンジダ菌は2人に1人くらいの確率で口の中にも繁殖はしていますが、抗生物質の長期多用によって、腸内細菌の環境がアンバランスになりカンジダ菌の増殖が起きたとき、体の免疫抵抗力が低下したとき、ストレスが増えだ液中のコルチっゾールとアドレナリンが 増加したときなどに発症することが多いと言われています。また、糖尿病や放射線治療を行っている場合、義歯を使っている方にも発症しやすい症状です。症状 は唇やほほの内側の粘膜、舌に白い斑点状の苔(こけ)のようなものができる場合と、粘膜が赤くなる場合の2つがあり、そのままにしておくと痛みをともなう 口内炎になることもあります。
口腔カンジダ菌症が見つかった場合には抗真菌薬のうがい薬や内服剤を処方されますが、予防の目的でこれらの薬を使うことは現実的ではありませんね。バクテリオシンの中には口腔カンジダ菌症の原因となるカンジダ菌(Candida albicans)にも有効なものがあります。
ペ ントシン(pentocin)と呼ばれるバクテリオシンの仲間の1つで、乳酸菌ペントサス菌「Lactobacillus pentosus」が作る物質になります。1999年に南アフリカの細菌学研究グループが乳酸菌ペントサス菌が作り出すバクテリオシンに似た物質のペント シンがカンジダ菌の増殖を阻害することを報告しています。この乳酸菌には50種類ほどの仲間がいて、京都のしば漬けや中国料理に使われる金華ハム(発酵ハ ム)から見つけられているほか、人の腸内、出産直前の妊婦の膣からも見つかっています。ヨーグルトを作る時にも使われる乳酸菌の1つです。
元来、この乳酸菌ペントサス菌は腸内の乳酸菌として常在していて便の中か らも見つかる菌でもあり、人間の便を培養して乳酸菌ペントサス菌を得た日本人による研究では、非常に興味深いことが報告されています。テトラサイクリンと いう非常に広範囲なバクテリアの殺菌能力を持った抗生物質を添加し培養した結果、大腸菌やほかの乳酸菌群を含むほとんどのバクテリアの繁殖が著しく低下しているにも関わらず、乳酸菌ペントサス菌はこの厳しい条件下でも増殖を続けていたこと。また、ペントサス菌の培養液にカンジダ菌を入れると、培養後にしばらくの間繁殖を続けていたカンジダ菌の繁殖が完 全に止まったことです。
実際に口腔内カンジダ菌症の診断、または疑いを、歯科医から告げられ、私の栄養カウンセリングに歯科医から紹介されていらしたクライアントの中に、就寝前にヨーグルト(無糖)を大匙1杯コップ1杯の人肌の水に溶かしたもので、口腔内を十分にゆすいで就寝してもらうと、口腔内カンジダ菌症の症状の多くが大幅に改善された方は少なくないです。
健康、生活習慣病の改善のために、腸内環境に目を向けるのと同時に、口腔内のバクテリアのコントロールも考えることは「消化器全体の機能改善」のために重要なテーマだと思います。
by nutmed | 2015-03-23 09:03