第1406回 食物不耐性と食物アレルギー

この1年ほど前から、栄養療法のカウンセリングで対応しているクライアントの中に、自称「食物アレルギー」という人が非常に増加しています。この春に出版されたプロテニスプレーヤーのジョコヴィッチの書籍の影響も少なくないかもしれません。
いわゆる食物アレルギー症状でカウンセリングに来られるクライアントさんの60%くらいが、何処かのクリニックでIgG食物アレルギーの検査を受けて、牛乳、卵黄、卵白、小麦、大豆、さやいんげん、じゃがいも、牡蠣などの食材に強い反応を示し、医師からこれらの食材は一切食べないように除去食指導を受けています。クライアントの多くが持いる症状は、便秘と軟便をはじめ、腸の働きにかかわるものと、疲労感、精神的な落ち込み、それに貧血が多い実感です。
この1年ほど、クライアントにヒアリングをかけていく中で疑問が出てきたのが、検査結果では確かに食材の反応は強いものの、検査で反応が強い食材を食べた時に必ず現れるものでもなく、例えば、ピザやスパゲティを食べても症状が全く現れないときもあれば、反応の強い食材以外の食材でも腸の症状が酷くなることもすくなくないということでした。
私も、神尾記念、青山外苑前クリニックでも主治医にお願いしてIgG食物アレルギー検査を実施してもらうことは多いですが、この1年ほど前から、カウンセリングするクライアントさんの症状と検査結果、他施設で指導された除去食指導の経過を確認する中で、「免疫応答システムに直接かかわり影響を与えるとともに、アナフィラキシーのように生命にも影響を及ぼす」アレルギー症状とは異なる「食物不耐性症状」が圧倒的に多く、また世の中では医療従事者も含めて「食物アレルギー」と「食物不耐性」を混同している傾向があるように実感しています。その背景として、不耐性は食物のたんぱく質が十分に分解できずに腸を中心とした臓器の働きにかかわる様々な症状が現れることと、自称「食物アレルギー症状」を持つクライアントの多くが腸の働きに関わる症状で悩んでいることがあります。もちろん、ヒスタミンが関わるようなアレルギー反応の症状のなかにも腸の働きに関わるものがありますが、不耐性を原因とするものの頻度ではないと思います。
なぜ近年になって食物不耐性の発症頻度が増加しているのかについては、日本に限ったことではなく、世界的な規模であることを裏付けるような研究報告も見られます。その原因の1つに「レクチン」というたんぱく質が関与している可能性が高いと考えられています。レクチンと食物不耐性については過去のブログでテーマとして扱っていますので参考にしてみてください。
by nutmed | 2015-08-19 14:48