クロミウムについて

最近、栄養医学研究所に寄せられる問合せの中で、これからサプリメントを使った栄養療法クリニックを開業させたり、現在の西洋医学による治療にサプリメントを補助的に使いたいというドクターからの問合せが増えてきました。これは今後も増えることが予想されますが、私としては非常に歓迎すべきことだと感じています。しっかりした医学的知識を持ったドクターから、あきらかなエビデンスを持ったサプリメントを紹介することは、昨今の「曖昧商品」や消費者を裏切るような商材の根絶にも役立つことは勿論、無駄な医療費を削減し、人間が本来持つ自然治癒力による「未病」促進にも大きく貢献すると考えています。
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さて、今日はクロミウムについてです。
人間には生命の維持、つまり約60兆個もの細胞が正しく働くために必要な9つの微量ミネラルがあり、これを「バイタルミネラル」と言います。そのミネラルは、クロミウム、コバルト、銅、ヨード、鉄、マンガン、モリブデン、セレニウム、亜鉛です。中でもクロミウムは炭水化物をグルコースに代謝する役割と、インスリンの働きを高める働きを持ったバイタルミネラルです。クロミウムはかっては食材から摂ることが比較的容易でしたが、近代農法や添加物処理の影響によって、現代食生活からの十分な摂取がし難いバイタルミネラルになりつつあります。
食生活からのクロミウムの摂取不足にある人の場合、炭水化物の代謝コントロールが上手くできずに、グルコース耐性に影響をもたらすことも少なくありません。これは、砂糖や精製漂白された小麦などのように分解が容易で、単純な構造の炭水化物を過剰に摂取すると、血中グルコースが過剰になり易く、2型糖尿病にいたる可能性が大きくなるということでもあります。
事実、いくつかの研究によって、2型糖尿病または慢性的に空腹時血糖が高い傾向にある人の血漿中クロミウム濃度を調べたところ、正常な人に比べて40%も低いことが報告されています。
余談ですが、最近の研究によって、うつ病の人の多くが空腹時血糖が高く、2型糖尿病の予備軍であることが報告されていますが、この研究の中で、75人の高血糖でうつ病の患者に8週間、1日あたり600マイクログラムのクロミウムを与えたところ、うつ病に比較的多く見られる、過食症、食欲減退、炭水化物の過剰摂取、憂鬱の症状が改善されたという報告があります。

日本人は米を主食にする民族ですから、いわゆる単純な構造をした炭水化物が常食になっていますが、かっての日本人が食していた米は、現在のようにおいしさを追求した「白米」ではなく、栄養素が満点の玄米であったことを考えると、この米胚芽にも含まれるクロミウムの恩恵は大きいといえるでしょう。
by nutmed | 2007-02-17 14:47