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簡易検査キットについて

昨日予定よりも40分早く成田空港に到着し、無事帰国しました。
週のはじめの帰国はどうも好きではないんですよね。帰宅前にオフィスに寄って、机の上にうずたかく積まれた書類の山の整理とメール対応で結局午後11時まで!でも今回の出張ではかなりの収穫があったので、文句も言えませんが・・・

さて、今日は今の私の分野からはそれほど近いものではないのですが、かって臨床検査にかかわる仕事をしていたので、最近医療現場、特に歯科医の間で話題になっている簡易検査キットについて少しお話したいと思います。これらのキットはだ液、血液、尿を材料とするもので、米国では15年ほど前から自宅で簡単に材料を採取してできる検査「HOME TEST KIT」としてかなり持て囃された歴史があります。日本でも13年ほど前から自宅で指に針を刺して血液を採取し、キットに添付されたろ紙につけ封筒に入れて送ると結果が送られてくるという「郵送検診キット」としての歴史がスタートしています。
対象になる項目は多岐にわたりますが、日本で最も多いのが「クラミジア」や「B型・C型肝炎ウィルス」などウィルス感染症検査キットです。これは、ウィルス検査が「抗原抗体反応」という方法で「抗体価」という、体内でそのウィルスに対して作られた抗体の有無と強さを分析するもので、言ってみればそのウィルスに感染したことがあるいか否かを調べるものです。

言葉とおり簡易な方法で測定できることと、材料を自分で自宅にいながら採取できることで、看護士や臨床検査技師による採血が必要ありません。歯科医でこのようなキットが重宝される背景には、多くの歯科医は採血業務が苦手であること、歯科治療で出血することが少なくないために、感染の危険性があることから施術の前に患者が感染症に罹患していないかの有無を確認しておく必要があるためです。コンセプトは間違いありませんし、歯科医といえども人間ですから、感染の危険から自らを守ることは重要な要素でもあります。

ただし、私がこれら最近の簡易検査キットに対して危惧と警鐘を促したいことがあって、それは対象となる感染症項目と、その結果およびクリニックの対応の仕方にあります。
簡易検査キットを販売している企業の中には、これらの検査の結果を本人に直接送付するところがあるそうです。一見、プライバシーにかかわる内容ですから当たり前のように思えますね。
しかし、これらのキットの中には最近では皆さんあまり危機意識がなくなったHIVいわゆる「AIDS」を検査するものまであるようですが、歯科医やクリニックに行って「治療の前にこのキットで材料採取して結果が届いたらまた来院してください」と言われたとしたら、皆さんはどうしますか?それも、もしHIVの検査で「陽性」つまり感染者である可能性が極めて高いという報告書がいきなり自宅に届いたとしたら・・・。多くの方はまさか自分がHIV感染者などと想像できないわけですから、ほとんどの方はもし「陽性です」という報告書をもらったら、まず間違いなくパニックになるでしょうね。そのケアは歯科医がちゃんとしてくれるだろうと思われるかもしれませんが、歯科医の多くは、患者がHIV陽性ですという報告書を持参してくれば、専門病院は保健所へ行くように指示するしかないでしょうね。

この手の検査キットの普及は意義深いことではありますが、まず、キットというハードの面ばかり先行させるのではなく、少なくともこのようなキットを販売する企業は、行政に対して陽性結果がでた場合の対応について協議をして、メンタル面を含めた対応までサポートすることを考えるべきだと思うのですが・・・
by nutmed | 2007-02-27 14:22