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カルシウムの過剰摂取と前立腺がんの関係

昨日の健康関連に対するマスコミ報道の是非に関係する話題を1つ。
恐らく、遅かれ早かれ数ヶ月以内に日本のマスコミも取り上げる話題になると思いますので、先取りして少し解説しておくことにしましょう。

これは2006年に発表された内容で、1日あたり1500mg以上のカルシウムを継続摂取すると前立腺がんのリスクが56%高くなるというものでした。この発表は米国で少し話題になり、一部の医師や栄養士までもがこぞってサプリメントによるカルシウムのとり過ぎに警鐘を鳴らしたほどです。
しかし、この報告の後、米国のいくつかの大学や病院、イタリア、ドイツの研究者からも疑問の声があがりました。報告内容を良く見てみると確かに対象となった人数と16年間の追跡調査という、いかにも信憑性が高い研究に見えます。しかし、この研究で対象者がどのようにカルシウムを摂取していたかの部分を見ると、前立腺がんとの因果関係にカルシウム以上に関与している可能性のある背景が見え隠れしてきました。
その1つが「牛肉」でした。なんで牛肉が?と思われるかもしれませんが、勿論、牛肉など動物性のたんぱく質からはカルシウムが摂取できますが、カルシウム以外にも摂取されているであろう物質がありました。それは「成長ホルモン」でした。 ご存知の方もいるかもしれませんが、市場に可能な限り早く牛肉を出荷するための1つの方法として、かなり以前から飼育中の牛や豚に成長ホルモンを投与することは珍しいことではありません。
前立腺がん発症の背景にはいくつかの原因がありますが、ホルモンの影響によるものが含まれていて、この研究報告に対しては、各国の研究者からこの報告では成長ホルモンとの因果関係が否定されていないことと、対象者の生活習慣や食事内容の調査が不十分であるという指摘が数多く寄せられました。
成長ホルモンの問題もさることながら、今までこのブログでも何回か説明してきたように、カルシウムを含むミネラルの吸収のメカニズムを考えると、対象者の吸収代謝を含む体内環境の要因が前立腺がんだけでなく様々な病気の発症に大きく影響を与えることを忘れてはいけないと思います。

特に、新たな研究報告については、その内容や対象者の背景にも注目して、その研究から導き出された根拠だけでなく、その研究報告のデータに影響を与えると考えられることを十分に考えてみることが大事だと思います。
by nutmed | 2007-03-02 18:09