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アトピー性皮膚炎と月見草オイル

今週は平日の勉強会や講演会が続いていて、ブログ更新が飛び飛びになってしまいました。
それにしても、5月を目前に寒の戻りというには少し陽気がおかしいですね。せっかく蕾をつけた春の草木も、中々衣を脱ぐ決心がつけないようです。

さて、今日は月見草オイルについて質問を受けましたので、せっかくですからここでもその話を紹介します。
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γーリノレン酸が豊富に含まれる月見草オイルは、湿疹や蕁麻疹、乾燥肌などの改善効果があるためにこの15年ほど前から栄養療法のクリニックでもアトピー性皮膚炎の改善のために処方されてきた素材です。
アトピー性皮膚炎の患者では、必須脂肪酸(EFA)とプロスタグランジン(炎症を抑える働きと発生させる働きの両方を持つホルモン物質)の代謝に変調を来たしていることが多いことが報告されています。実際、いくつかの臨床研究では、アトピー性皮膚炎患者の血漿、赤血球、白血球中の脂肪酸量の変化が見られます。アトピー性皮膚炎患者の多くでは、γ-リノレン酸(長鎖多過不飽和脂肪酸)、アラキドン酸、長鎖オメガ-3脂肪酸、EPA、DHAが不足減少傾向にあり、逆にリノレン酸は過剰傾向にあります。
アトピー性皮膚炎の患者は、γ-リノレン酸の摂取量が少ない、または何らかの原因でデルタ6脱飽和酵素(リノール酸がγ-リノレン酸に変化するときに必要な酵素)の活性が低下していると考えられますが、デルタ6脱飽和酵素が正常に働くためには、亜鉛だけでなく、ビタミンB6とマグネシウムが必要になります。これらが不足しているために活性が低下しているなら、これらをサプリメントなどで補えば症状の多くは改善します。γ-リノレン酸が不足している場合に、月見草オイル(EPO)、ボラージオイル、黒スグリオイルの摂取が効果的なケースは確かに少なくありません。EPOについて言えば、1日あたり3,000mgのEPO(γ-リノレン酸量として約270mgに相当)摂取によってアトピー性皮膚炎の症状改善効果が現われています。しかし、私が今までに扱った128例のアトピー性皮膚炎患者の栄養カウンセリングとDr.ライト(私の師匠でタホマクリニック院長)が過去に扱った数千のケースの実情は異なっていて、EPOよりもオメガ-3(フラックスまたはタラの肝油)を1日あたり3,000-5,000mg摂取させたほうが、よりアトピー性皮膚炎の症状改善効果が高いといえます。実際、米国でアトピー性皮膚炎に対するEPOの効果は期待する以上に低いという報告があります。
オメガ-3(フラックスまたはタラの肝油)は、アトピー性皮膚炎の患者の中でも特にプロスタグランジンの代謝異常、デルタ6およびデルタ5脱飽和酵素生産不良(このほとんどが亜鉛、ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムの摂取不足)の患者には効果的で、日本人のアトピー性皮膚炎には最も多いケースがこれです。
最近の研究によると、アトピー性皮膚炎の脂肪酸のパターンを調べたところ、血漿中およびリン脂質に含まれるオレイン酸とリノレン酸量を比較するとリノレン酸のほうがオレイン酸よりも圧倒的に多く、このパターンは健常人では見られないパターンであることがわかりました。加えて、アトピー性皮膚炎患者の多くでオメガ-3とオメガ-6の比が非常に低いということです。
アトピー性皮膚炎患者の血漿中およびリン脂質のジホモ-γ-リノレン酸とアラキドン酸が極端に低下していることから、従来から言われているようにデルタ6およびデルタ5脱飽和酵素の生産不良などの背景があり、オメガ-3を摂取したほうがより効果的であることを裏付けるものと考えています。

アトピー性皮膚炎で悩んでいる方の場合には必ずしも月見草オイルが効果的ということはないということですから、どの脂肪酸が自分にはあっているのかを、血液検査、爪によるミネラル分析などによって確認したうえで専門のカウンセラーや医師に相談することが重要ですね。
by nutmed | 2007-04-18 09:39