悲しい出来事・・・

私が懇意にしているルイジアナ州バトンリュージュに住む栄養療法医師から、今朝メールが届き、彼の3男として昨年9月に生まれた子どもが、今週水曜日に急性鉛中毒で亡くなりました。
日本ではあまり馴染みのない小児の急性鉛中毒ですが、アメリカでは年間に数千人の子供が鉛中毒で命を落とします。
原因の多くは壁に塗るペンキの劣化したものが床に落ち、それを口に入れてしまうことなんです。最近では鉛を排除したペンキが多いのですが、古い家やアパートの場合には以前塗った鉛入りのペンキがまだまだ多く残っているようです。

鉛についての研究報告がありますので紹介します。

ミズーリ大学の研究者らが、9ヵ月~6歳の小児144例を評価したものです。約半数の小児の血中鉛濃度はCDCの鉛曝露の閾値である10mcg/dLを上回っていました。免疫機能検査でこれらの小児を評価したところ、血中鉛濃度が10mcg/dlを上回る小児は、血中濃度が低い小児と比較して、Ig(免疫グロブリン)Eが高値でした。IgE抗体高値は、アレルギー患者の数値に類似していて、。鉛がアレルギー発症のリスクを上昇させるならば、喘息発症の一因にもなりうることを報告しています。鉛に曝露する可能性が最も高い都心部では特に、小児喘息症例数がますます増加しているようです。この研究では、ジフテリアと風疹の予防接種を受けた小児において、鉛に曝露した小児の抗体反応が、曝露していない小児よりも弱いということが判明しています。これらの小児ではジフテリアや風疹を適切に予防したにもかかわらず、鉛曝露が免疫応答を阻害した可能性があると報告されています。

軽度の鉛中毒の場合以下の栄養素が効果的です。
·カルシウムが欠乏している場合、鉛はより速やかに組織に蓄積するためカルシウムの摂取を充足させること。
・リン摂取の増量
·ビタミンCの増量
·ビタミンB複合体、特にビタミンB6、葉酸、ニコチン酸アミド(B3)の増量
·ペクチン、ビタミンEの増量
·ビタミンA、C、クロムは細胞の損傷を予防し、鉛濃度を低下させる。
·ビタミンDの摂取が不十分であると、鉛の吸収が促進される。
by nutmed | 2007-07-27 18:55