人気ブログランキング | 話題のタグを見る

食とエコの両立 その4

週末は、薬学生3年の娘と久しぶりに2人きりで過ごす時間がありました。薬剤師を目指す彼女の悩みから、日本の医療システムのことまで、今まで子ども扱いしていた娘がこんなにしっかりした自分の意見と父親の意見を素直に聞いてくれる姿に触れ、改めて子どもの成長の早さと、いずれ近い将来、娘とともに何か仕事が一緒にできればと密かに思った次第です・・・

さて、今日はいよいよエコと食の結びつきの核にせまります。
前回はドイツのエコ事情と食の関係を少し垣間見ていただきましたね。
最初から何ですが、エコを現代の日本人が67億分の1人として無理なく生活の中に取り入れ、それによって個人が十分メリットを感じ、日本に根付かせるためのキーワードは「食」それも食材ではなく「食材の扱い方」と、もう1つのキーワードは「我慢」または「忍耐」ではないかと思います。

ドイツが過去から現在にいたるまでそうであるように、かつての日本でも食材は「その日に食べる量」を購入する習慣があったはずですね。そう、最近スーパーなどでも目にする水の秤売りと同じように、かつての日本ではいたるところで夕方になると「納豆売り」「豆腐売り」「パンの販売」の業者が当たり前のように往来していて、子どもたちは母親から急かされてナベを持って豆腐売りのおじさんの自転車に群がったものです。商店街では味噌・醤油の秤売りが当たり前で、八百屋では市場から来た旬の野菜が彩り鮮やかに店先に並び、魚屋にはやはり採れたての旬の魚が並び、晩御飯のおかず用におじさんが3枚におろしてくれていましたね。
買い物のときに母親が小脇に下げているのは竹や針金で編まれた買い物カゴでした。その日に食べる分はこの買い物カゴに入る大きさのものばかりです。
食とエコの両立 その4_d0070361_11281844.jpg

そういえばこんな買い物カゴ下げてる主婦は見なくなりましたね・・

かつての日本の食卓台所では、今に比べて長期間保存する必要のある食材は極端に少なかったはずで、食材はその日のうちに食べる量+αがあるだけですから、冷蔵庫の大きさだって必然的にコンパクトで十分。今に比べて大家族だったことを考えれば、それでもコンパクトな冷蔵庫で食生活が賄えた理由にはこんな背景があったはずなんですね。
季節の旬に則した自然の植物や動物の恩恵と、人間の体内環境のシステムは決して無関係ではありません。冬や春にトマトやキュウリが食べられる今では、それが当たり前のようになってしまいましたが、かつての日本の家庭の冬の食卓には、保存発酵食としてのキュウリはあっても、異常なほどまっすぐに育った緑みずみずしいキュウリが食卓に並ぶことはありませんでした。かつての日本人は新鮮なキュウリやトマトを食べることができる夏まで待つということができたはずですし、食卓に並ぶ旬の素材を見て味わって季節を感じたのではないでしょうか。

バクテリアの繁殖もその1つでしょう。かつての日本ではTVのコマーシャルで連日のように「殺菌」や「除菌」「抗菌」なんて言葉を聞くことはありませんでした。以前のブログでも書きましたが、バクテリアも人間と同じ生物。生き抜いて種を保存するためには強い種、遺伝子を作り残さなければいけません。幸か不幸か、俳句の季語にもでてくるほどに、日本人は昔からバクテリアとの共存共栄をしてきました。でも、今考えると昔自分たちが子どもの頃に今の日本のように大腸菌をはじめカビなどの真菌が私たちに大きな被害をもたらすことはなかったはずで、食材だって足がはやいのは新鮮な証拠、その旬の新鮮な食材をその日に食べていたからこそ旬の恩恵も受けることができ、腐敗することもなかったはずですね。
そのシーズンに種を残すために育ち、旬に田畑で収穫される植物には、そのシーズンを生き残るためのエネルギーが豊富に残されているわけで、そのエネルギーの恩恵を人間も受けることができるのと同時に、バクテリアやウィルスに強い種として育っているわけです。
動植物、自然の摂理を全く無視して、人間の英知と技術革新によって365日いつでも食卓に並ぶ素材。人間は英知と技術革新によって動植物の生育をコントロールすることはできても、自然をコントロールすることはできません。

冷蔵庫そのものの技術革新は目ざましいものがあり、10年前の50%の電力で十分冷蔵できる技術はすばらしいものがあります。その日に食べることのできる旬の恵豊富な食材を考えることによって、生活にあったよりコンパクトな冷蔵庫になり、電力消費量が大幅に削減されるだけでなく、人間自身が旬の恵感じ、その恩恵を受けるために体内の消化分解、吸収、代謝というシステムと環境が無理なく整うメリットは大きいといえるでしょう。

次回は最終回、過剰包装の日本と食で幕をとじることにします・・・
by nutmed | 2007-09-10 11:59