2007年 10月 22日
トコトリエノールについて その3
さて、今日はトコトリエノールの3回目です。前回はトコトリエノールが持つコレステロール抑制作用についてお話しました。
ビタミンEを構成するトコフェロールとトコトリエノールにはいくつかの異性体(アイソマー)が存在し、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、それにδ(デルタ)がそれにあたります。LDLコレステロールの抑制作用についていえばトコトリエノールのδ異性体が最も強力で、続いてγ、α、βの順番に弱くなり、α、βにはこの作用がほとんどありません。最近の研究でLDLコレステロールの抑制作用が最も強いδとそれに続くγトコトリエノールには、LDLレセプター(受容体)とコレステロールを合成する酵素をコントロールする作用を持つことがわかりました。
日本同様、メタボリックシンドロームという悩みを抱えているアメリカでは国民の約16%がメタボの対象である可能性が高く、特に中性脂肪が高くなる高脂血症の増加に頭をかかえています。
昨年2006年に発表されたドクターChenらによる研究によると、米糠油に含まれるトコトリエノール(δ)がLDLコレステロールだけでなく、中性脂肪の抑制にも有効であることを報告しており、アメリカでもメタボ改善に米糠オイル(Rice Bran Oil)に注目が集まっています。
考えてみれば日本でもかつては米糠を利用した食材が多く存在し、今で言うところのメタボの背景となる高脂血症や糖尿病、高血圧が少なかった可能性は否定できませんが、海の向こうのアメリカ人がかつての日本の習慣食材に注目していて、その日本人はと言えば西欧食にかぶれてメタボが増えてきたというのは、なんとも皮肉なものです・・・