グルコサミンについて その3

今日で11月も終わり。明日からいよいよ2007年最後の月となりました。
これからの季節、忘年会、年賀状書きなど、夜更かしや不規則な食生活になりがちのシーズンです。毎年のことではありますが、胃腸、肝臓をリフレッシュしてあげることも忘れないでくださいね。

さて、今日はグルコサミンの3回目です。

・グルコサミンと脂質
GSがコレステロールと中性脂肪に影響を与える可能性がアメリカの一部の雑誌で紹介されたことがあります。しかし、2007年1月のデンマークの医学誌で発表された、グルコサミンが血中コレステロールと中性脂肪に与える影響の研究(The effect of glucosamine sulphate on the blood levels of cholesterol or triglycerides--a clinical study  Ugeskr Laeger.2007 Jan 29;169(5):407-10.)によると、GSがコレステロールと中性脂肪に影響を与える可能性はないことが証明されました。

・グルコサミンの摂取量
男女ともに1日あたり1,000-1,500mgを上限として、この量を2-3回にわけて、食事の直前に飲むことをお勧めします。

・グルコサミンとコンドロイチン
関節炎及び関節痛の改善緩和に有効とされるGSですが、現在までに世界中で行われている臨床研究の結果を平均すると、それでも5人に2人はその作用効果を実感できないという結果になります。アメリカやドイツで慢性関節炎の抗炎症作用を期待してGSを処方し、2-3週間で患者に効果がでなかった場合には、コンドロイチン(硫酸塩)を併用するケースが少なくありません。コンドロイチンはムコ多糖類という粘性を持った物質で、ビタミンAの触媒作用によってヒアルロン酸に硫酸が結合して作られる物質です。関節と関節の間にある軟骨組織を形成するもので、加齢とともに体内で造られる量は減ってきます。健康食品などで機能性食品として日本で販売されているコンドロイチンの多くはサメの軟骨から抽出されたものですが、このほか動物性のものとしてはスッポン、ナマコ、ドジョウ、ウナギなどネバネバした成分を持ったもの、植物性のものとしては納豆、山芋、ナメコ、オクラなど、やはりこちらもネバネバしたものに含まれています。
GSとコンドロイチンを併用することによって、GSだけでは反応しなかった患者の約40%に抗炎症が見られる報告があります。

・健康食品としてカプセルや錠剤のグルコサミンを飲んでも吸収されるか?
口からカプセルや錠剤で摂取したGSのおよそ90%は腸で吸収されることが研究によってわかっています。(これはGSでもグルコサミン硫酸塩のデータですので、日本の健康食品市場で販売されているグルコサミン塩酸塩の場合にも同様の吸収率があるかは不明です。)
イタリアで行われたこの研究では、2人の男性ボランティアにC14(放射性同位元素)で標識されたGSを250mg入れたカプセルタイプを早朝空腹時に飲んでもらい、1時間後の採血で血中のC14の量を計ることで、腸からGSが吸収されているかの検討をしたものです。
1時間後の採血では2人の男性の血中からC14が検出され、その量からGSは正常に腸から吸収されていることがわかりました。
このイタリアの研究者は、「GSは非常に早く消化吸収され、血中を流れた後ただちに組織中に移動し、関節や軟骨組織にまで届くと考えられる」とコメントしています。
また、この2人の男性ボランティアには、静脈および筋肉への注射によってもGSの投与をしてもらいましたが、その結果吸収比率としてはカプセルや錠剤で摂取するよりも3倍高いもので、カプセルや錠剤でGSを摂取することは効果的ではありますが、有効とは言えないというコメントをしています。
カプセルや錠剤から摂取されたGSは、消化された後に肝臓へ運ばれます。肝臓ではGSの大きな分子を二酸化炭素、尿素、水などの小さな分子まで分解されます。

・グルコサミンの有用性
最近では日本をはじめアメリカ、ヨーロッパでもGSが単体で関節炎改善の機能性成分として販売されることは稀で、コンドロイチン、またはMSM(メチルサルフォニルメタン)と一緒に配合された商品として販売されています。また、関節炎の改善作用を向上させたフォーミュラとして、GS、コンドロイチン、MSMに加え、強力な抗炎症作用を持つハーブのクルクミン(ウコン)、ボズウェリアなどが配合された商品も見られるようになりました。


次回はグルコサミンの機能について・・・
by nutmed | 2007-11-30 09:21