グルコサミンについて 最終回

先週土曜日は、久しぶりにワイフとコンサートに行ってきました。Derek Trucks Bandという日本ではあまり馴染みのないバンドかもしれませんが、昨年のクラプトンのツアーでギタリストとして日本にも来日したデレク・トラックスの率いるバンドです。デュアンオールマンを叔父に持ち9歳でプロデビュー、まだ30歳前で世界の3大ギタリストの1人に数えられるほどのテクニックから溢れるのは、コテコテのブルースだけでなくジャズをフューチャーした曲まで。久しぶりに体にまとわり付くようなブルースに酔いしれてきました。

さて、今日はグルコサミンの最終回です。
先週このシリーズをスタートしてから連日のようにメールでも問合せが殺到しています。中にはグルコサミンを製造販売している会社の開発者からも・・・

・グルコサミンは体内でどのように機能するのか?
残念ながらその回答の全てはまだ明らかになっていません。今までに行われた各国の研究から推測されることは、GSはタンパク質とムコ多糖(コンドロイチンやヒアルロン酸)との複合体で軟骨や皮膚、目、心臓の弁、腸などを構成するプロテオグリカンという物質の体内での合成を刺激し、コンドロサイトという軟骨を構成する組織の損傷を修復する働きを持つと考えられています。また、抗炎症作用を持つ医薬品のイブプロフェンなどに比べ抗炎症作用は低く、鎮痛作用についても弱いことがわかっています。
ただし、医薬品に見られる副作用がほとんどないことを考えると、抗炎症作用を期待してGSを使用することは有効であると考えます。

・グルコサミンは食材にも含まれているか?
GSは一般にエビ、牡蠣、カニの甲羅などから抽出されることが多い物質ですが、関節炎を改善するために必要な量をこれらの食材から直接摂取するには量が少ないと言えます。したがって効率よくGSを摂取するためにはやはり健康食品などで摂取することがいいと思います。

・グルコサミンに毒性はないか?
イブプロフェンやナプロシンなどの抗炎症剤の副作用によって発生する胃潰瘍や腎臓機能障害のケースは毎年沢山報告されていますが、GSにはほとんど副作用、毒性がないことは多くの研究によって証明されています。1991年アメリカの薬理研究誌でGSは非常に安全な物質であることが紹介されています。
動物による毒性試験結果では、ラットにGSを体重1kgあたり2700mgを1年間、犬に体重1kgあたり2100mgを半年間継続投与した結果、毒性および内臓組織への損傷は確認されていません。
犬に体重1kgあたり2100mgの投与は、体重70kgの人間にすると150,000mgに相当します。
アメリカおよびヨーロッパでは、関節炎患者に対して投与する一般的なGSの量は1回あたり500mgを1日3回(合計1500mg)とされています。
一方、イタリアの研究グループによるマウスを使った毒性試験(LD50:半数のマウスが死ぬ量)では、体重1kgあたり8000mgと報告されており、これは人間の場合、1回に500,000mgを投与することに相当します。


日本では既に市民権を得たグルコサミン、医薬品メーカーまでが膝関節炎の症状緩和の目的でOTC薬として販売をしていますね。ただ、私が懸念しているのは、前回のブログの中でも書いたように、他のサプリメントや健康食品と異なり、医薬品メーカーを含め、相当なグルコサミン商品が市場に溢れ、その宣伝も他を圧倒しています。そこで、依存性の高い日本人にとって、グルコサミンを「薬」のような期待感をもって使用することによって、その期待が裏切られることもあることを知った上で使用して欲しいということですね。現状までに世界中のグルコサミンの研究報告を平均してみると、グルコサミンを使用して症状が改善されたと実感しているのは3人に1人というデータがあります。勿論、グルコサミンだけではなく、コンドロイチンやブロメラインなどの機能性成分との併用によってその数値は変化することでしょう。
現在までに大きな副作用の報告がないグルコサミンですから、上手に使ってお悩みを改善することが肝要だと思います。
by nutmed | 2007-12-03 10:09