2008年 03月 25日
副腎疲労の改善について-ハーブ
折角なので今年も我が家の桜の様子をご覧いただければと思って、朝からデジカメ片手にパシャッ!とやってきました。
さて今日はAFSの改善のためのハーブの紹介です。
アメリカでは副腎の疲労や慢性疲労の改善にはハーブはポピュラーな素材として使われています。日本でも漢方や生薬として使われてきたものも少なくありません。
副腎疲労症候群(AFS)やストレス耐性が低い状態の改善に効果のある6種類のハーブを紹介しましょう。
1、リコリス(Licorice Root)
日本でも漢方や生薬の「甘草」(カンゾウ)として古くからつかわれてきたハーブで、アメリカでAFSの改善といえばファーストチョイスされるハーブです。Anti-Stress Herbとして知られているリコリスの有効成分はグリチルリチンで、グリチルリチンは砂糖の150~300倍の甘さがあり、天然の甘味料として使われています。このグリチルリチンが副腎のコルチゾール生産と分泌を刺激することでコルチゾールが上昇します。しかし、リコリスには常用していると血圧を上昇させる薬理作用があり、その原因はこのグリチルリチンがコルチゾールがコルチゾンに変換することを阻止してしまうためと考えられています。リコリスはこのグリチルリチンの活性を抑制させたジグリチルリチン(DGL)という成分があり、胃潰瘍やピロリ菌毒素の影響を抑制する目的で使われる素材ですが、AFSの改善にはジグリチルリチン(DGL)ではあまり効果が期待できません。したがって、AFS改善の目的でグリチルリチンが含まれるリコリスを使う場合の注意点として、常に血圧をモニターしながら使うこと、また最長でも4週間以上継続して使わないことがあります。4週間使って2週間休み再び摂取しはじめるサイクルがポピュラーな方法です。
2、アシュワガンダ(Ashwagandha Root)
アシュワガンダはナス科の植物で、インドの伝統医学アーユルベーダで利用されるハーブの一つです。アシュワガンダには強力な抗炎症作用があり、リウマチや関節炎の炎症改善には医薬品と同等またはそれ以上の効果が報告されてもいます。また、アシュワガンダは「アダプトゲン」(トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然のハーブ)としても知られていて、コルチゾールが過剰な場合でも、低下している場合でも正常な状態に戻すサポートをする作用が報告されています。1日あたり30gを越えるアシュワガンダの摂取は逆にコルチゾールを抑制する報告もありますので注意してください。
3、チョウセンニンジン(Panax Ginseng)
チョウセンニンジンは日本でもあまりにも有名な素材ですね。チョウセンニンジンは女性よりも男性のAFS改善に効果が顕著で、逆に女性がこの素材を使う場合には注意して欲しいことがあります。女性がチョウセンニンジン、特に「赤チョウセンニンジン」といわれる種類の場合には、常用することでDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の生産と分泌過剰になることがあり、顔面にニキビが出たり、顔面の毛が濃くなることがあるので注意してください。
男性の場合でも使用に際しては、最初は少ない量から徐々に適量に増やしていくことがお勧めです。
4、シベリアニンジン(Siberian Ginseng)
シベリアニンジンは名前を聞くとシベリアに育つチョウセンニンジンなのかと思われがちですが、現在のシベリアニンジンの生産地はほとんどがアメリカの北東部になります。シベリアニンジンにはAFS改善に有効な様々な作用があり、ストレス耐性を向上させる、神経伝達物質のコントロール、スタミナとエネルギーの生産向上、睡眠の誘導、そして血糖値の抑制があります。私がシベリアニンジンを使うケースは副腎疲労やストレス耐性の向上もありますが、そのほか鉄欠乏性の貧血傾向のある方、脂肪代謝能力の低い方などにも使うことが少なくありません。その背景にはシベリアニンジンがビタミンB3,B5、B6の代謝を向上させる作用とビタミンCの体内での代謝を向上させる作用があるためなんです。
5、ショウガ(Ginger Root)
ショウガもアダプトゲンとして知られるハーブの1つで、コルチゾールの生産と分泌を正常に保つ作用、血圧を正常に保つ作用、脂肪燃焼とエネルギー生産の向上の作用があります。また、ショウガにはたんぱく質と脂肪を分解する酵素の生産を刺激する作用もあります。
日本ではショウガを食材として使うケースが多く、その背景には薬味としてだけではなく、体の働きを調整コントロールするための素材として使われてきた歴史もあります。
AFSの改善の目的でショウガを使う場合、お勧めはショウガティーですね。朝食時に温めのお湯100ccにショウガを絞った汁を10ccほど入れて飲んでみるといいですよ。
6、イチョウの葉(Ginkgo Leaf)
痴呆症の予防ですっかり日本でも有名になったイチョウの葉(ギンコ)ですが、その薬理効果は世界中で報告され、臨床現場でも使用されるほどのハーブです。イチョウの葉の成分には強力な抗酸化作用があり、AFSやストレスによって副腎が生産するコルチゾールが慢性的に増加することによって副腎の細胞にダメージを与え、フリーラジカルが増加することで副腎の働きが低下し始める状態にある場合、このフリーラジカルの除去に対してイチョウの葉は非常に有効なハーブ素材として選択されます。イチョウの葉には機能性成分としてのバイオフラボノイドも豊富に含まれていて、血流改善にも有効な素材です。
ハーブは漢方や生薬と同じように薬理作用を持つ素材です。したがって、使用に際してはその成分が持つ作用や他への影響などを十分理解、熟知している専門家の指導を受けて使うことが望ましいと言えます。
次回はいよいよ副腎疲労症候群の最終回になります・・・