爪のミネラルでわかること

中国成都の地震は犠牲者がこれからもっと増える予想だそうですが、日本でもいつ起きてもおかしくない時期に入っているという大地震、備えは万全ですか?

先般シリーズで掲載してきた副腎疲労症候群の関係で、このところの問い合わせはストレスや低血糖、慢性疲労の件が非常に多くなっています。私が栄養カウンセリングを行っているお茶の水の病院でも年齢に関係なくこのテーマが多いですね。

この慢性疲労症候群に関連して、食生活の傾向と、来週以降シリーズで掲載する予定のメタボリックのタイプ別食事傾向とその改善の前ふりになりますが、栄養医学研究所で行っている爪による体内のミネラル分析のあるミネラルに注目すると、その人の食事の傾向がわかるとうお話を少ししてみましょう。

そのミネラルはカルシウムとマグネシウムです。
カルシウムと言えばほとんどの人が「骨」を連想するミネラルですが、カルシウムは骨だけでなく、むしろ骨以上に人間の栄養素の代謝には深くかかわっているミネラルなんです。同様にマグネシウムも代謝にかかわる重要なミネラルの1つです。
カルシウムは血液中を流れる糖分(グルコース)を細胞内に取り込むために必要なインスリンの生産と分泌を促進するミネラルです。したがって体内(細胞内)のカルシウム濃度が高い場合には、血液中のインスリン量が多いと考えられます。このような方の場合、過剰なインスリンによって食事後2時間以内に血糖値が低くなる低血糖の傾向が見られることがあります。一方、マグネシウムはインスリンの分泌を抑える働きをもったミネラルで、体内(細胞内)の血糖を上手にコントロールするためには、カルシウムとマグネシウムのバランス(比率)が大切です。カルシウムとマグネシウムの比率は年齢によっても変化しますが、1つの目安としてカルシウム:マグネシウムの比率は3から10:1の範囲内にあることが望ましいと言えます。現代日本人の食生活を考えるとおよそ7:1が最適だと言えます。カルシウム:マグネシウムの比率が3:1よりも低い、または10:1よりも高い場合には、低血糖になる可能性が高くなり、その後糖尿病に移行する危険性が高くなりますので、食生活と生活習慣には十分注意が必要です。

で、この6か月間に栄養医学研究所で爪分析を行った人のうち、10歳から70歳以下までの男女、各年齢で50人ずつの分析結果をピックアップして、カルシウムとマグネシウムの比率を調査してみました。
すると残念なことに、また驚くことにカルシウム:マグネシウムの比率が10:1を超える人が非常に多いことがわかりました。年齢でみると20-30歳半ばまでの女性が一番多く、続いて40歳代の女性、10歳代の男女の順になります。
このような人の食生活をよく見てみるとすぐに糖に変化するような単純な炭水化物、たとえば白米や麺類を好んで食べる傾向があります。
28歳のある女性の場合カルシウム:マグネシウムが22:1という比率で、この女性には後日だ液のコルチゾール検査を行ってもらいましたが、1日を通じて恒常的にコルチゾールが高い状態で、副腎がかなりのストレスを受けていることがわかりました。

一方血液検査でカルシウムやマグネシウムの値を見ても爪や毛髪中のミネラルと同じような背景が分析できるかというとそれは役不足と言えます。これは血液や尿の場合にはせいぜい72時間ほど前の過去から現在にいたる、血液中を循環している指標としては優れたマーカーになる反面、細胞中や触媒として働くミネラルを分析する爪や毛髪とは異なるということです。

メトボリック症候群改善のためにこの4月から健康診断における血液検査でのコレステロールや中性脂肪の値に話題が集中していますが、むしろ中長期的な体内の代謝状況をモニターすることで栄養素の吸収代謝を把握することが重要だと思います。
by nutmed | 2008-05-15 15:54