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第442回 閑話休題 歯の治療と不定愁訴

今日から8月1日です。今月はいよいよお隣の中国北京でオリンピックが開催されますね。
話題にこと欠かない中国ですが、内政や環境問題の良し悪しは別として、ここまで来たからには同じアジアの同朋として成功させてもらいたいものですが・・・

さて、今日はカルシフェロールの話題から少し離れて少し前にカウンセリングしためまいと耳鳴りで長年悩んでいた女性の話を紹介します。
40歳代半ばの彼女は右耳の耳鳴りとめまいでこの10年ほど悩まされてきました。病院やクリニックを転々と歩き、いろいろな検査を受け、治療を受け、漢方も鍼灸もマッサージも試してきましたが、本人が期待するほどの効果はなく、半ばあきらめかけていたところでした。
栄養療法で耳鳴りやめまいを改善する方法はありますが、個人差もあります。この女性には爪分析で体内のミネラル量を確認してもらったところ、耳鳴りやめまいに影響を与えるマグネシウム不足の傾向がみられただけでなく、コバルトが極端に少ないことからビタミンB12の補充が有効と考えられ、主治医に相談して週に1回ビタミンB12(メチコバール)の筋肉注射をお願いし、マグネシウムをエレメント量として1日あたり350mgほどしばらく摂取してもらうようにしました。
3か月が経過しましたが、私も本人も期待するほどの改善はやはりみられませんでした。

7月のはじめに彼女のカウンセリングをしているときに、世間話の延長線の中で彼女が12年前と5年前にインプラントの施術を受けたことを聞きました。実は彼女、これまでにお世話になっていた何人かの主治医や鍼灸の先生にもインプラントをしていることは話していなかったようです。彼女のインプラントは耳鳴り症状が出ている右奥歯の大臼歯2本です。12年前に第3大臼歯、5年前に第2大臼歯をそれぞれインプラントで施術しています。
私としては彼女を悩ませてきた耳鳴りとめまい、それにしばしば起こる右側の頭痛の原因背景はこのインプラントではないかと感じました。

日本では患者にインプラントや入れ歯、ブリッジなど、金属を使う場合には、患者にその金属が適合するかどうかの検査を行う歯科クリニックは私の知る限りではほとんど無いと思いますが、アメリカ、カナダ、スイス、ドイツ、オランダ、スウェーデンなど欧米では金属の適合性を確認するために血液を使って検査をすことが日常的に行われています。その背景にはもちろん患者にとっていいもので安全な素材を使いたいということではありますが、もう1つの背景には「医療訴訟」の問題がかなり影響しています。
私がシアトルで研修をしていたころに、シアトルのデンタルクリニックがインプラントをした患者から訴訟をおこされ、結局3億円を支払うはめになった事例がありました。これはまさに患者と金属の適合性を省いて施術をし、最もポピュラーなチタン素材を使ってしまったケースでした。
チタンは金属アレルギーがない金属として日本でもポピュラーに使われる金属ですが、すでにアメリカやドイツでは金属アレルギー患者の6%にチタンに反応してしまう症例が報告されています。

さて、この耳鳴りめまいで悩んでいた彼女ですが、現状、インプラントが原因の可能性がかなり高いとは思っていますが、インプラントを抜いてしまうわけにもいかず、その対処を考えているところです。ドイツとアメリカ、ブラジルの栄養療法ドクターや歯科医にも連絡をして協力を仰いでいるところではあります。
私として幸いだったのは、原因もわからない症状に八方塞がりだった彼女が、可能性の高い原因がわかったことで一縷の望みではあるものの、希望が持てるようになり、以前よりもかなり表情が明るくなったことです。
by nutmed | 2008-08-01 11:01