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第476回 箸休話題 EXCITOTOXINS(神経興奮毒物)

しばらくマグネシウムの話題が続いたので、少し箸やすめの話題を1つ紹介したいと思います。
もちろん、マグネシウムのテーマは今しばらく継続しますので、次回をお楽しみに・・

今日の話題はEXCITOTOXINS「神経興奮毒素」についてです。日本では一部を除いてはあまり話題になることがない神経興奮毒素ですが、最近世間をにぎわせているメタミドポスやジクロトポスなど、食品に混入している農薬による食の安全性という点ではかなり昔から問題になっているテーマでもあります。
神経興奮毒素にはたくさんの種類がありますが、薬もその1つといってもいいかもしれません。代表的な神経興奮毒素となる薬は中枢神経興奮剤「リタリン」でしょう。リタリンはうつ病や睡眠障害などで処方されてきた薬です。
これと同じような働きをする物質で我々の身近にあるものがたくさんあります。「天然の神経興奮毒素」と言ってもいいでしょう。 その代表的なものが毎日のように皆さんが食べる動物性植物性を問わずタンパク質の最少単位となっている「アミノ酸」です。アミノ酸の中でもグルタミン酸とアスパラギン酸は、人間の体を構成するタンパク質の源としては不可欠なアミノ酸でもありますが、神経興奮毒素でもあります。では、なぜ毎日のようにタンパク質を摂取していてもグルタミン酸、アスパラギン酸が神経興奮毒素として作用しないのか?という疑問がでてきますね。
それを説明する前に、同じアミノ酸でも、人間が合成した食品添加物などに使用されるグルタミン酸とアスパラギン酸について少しお話しておく必要があります。
MSG(monosodium glutamate:グルタミン酸ナトリウム)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。世界的に使われていて、最近ではアミノ酸飲料でオリンピック選手のサポートなども手掛けている某大手調味料メーカーの調味料や中国で作られている化学調味料(日本ではこの言葉は使わなくなったそうです・・)の主成分がこのMSGです。MSGはシイタケ、コンブなどに含まれるいわゆる「うま味成分」で、某調味料も開発当初はこれらの天然素材から抽出したものを使っていたようですが、現在ではサトウキビの搾りかすや石油系材料を発酵させたものを使っているという話を聞いたことがあります。
この某調味料含有食品は現在の日本の食生活から切り離すことは不可能なほど日常の食生活に密着をしています。
さて、このMSGは体内で分解されると非常にアクティブなアミノ酸に変化します。一般にはこの状態のアミノ酸のことを「フリー(遊離)」のアミノ酸と呼びます。
ここで食材に含まれるグルタミン酸とアスパラギン酸に話をもどしますが、MSGから変化するこれらのアミノ酸がアクティブな状態であるのに対して、食材のタンパク質が分解したアミノ酸は、アミン酸同志が結合した状態となり、フリーアミノ酸のように神経に対して過剰な影響を与えることは多くはありません。
日本ではあまりMSGと食の安全とのかかわりについては取り上げられることはありませんが、ためしにネットで「MSG」または「グルタミン酸ナトリウム」で検索してもらうと欧米ではいかにMSGによる体内環境への影響を懸念しているかがわかると思います。

日本では19991年7月から食品添加物の表示が変わりMSGだけの場合は「調味料(アミノ酸)」と書き核酸系(合成MSGを含む)などほかの調味料が混ざったものは「調味料(アミノ酸等)」と表示されることになったために、食品のラベルを一見しただけでは合成されたMSGが添加されてものか否かの識別は難しい状況もあります。
by nutmed | 2008-10-22 17:17