第499回 閑話急題! マグネシウムで死亡例

このところマグネシウムの問い合わせが増えていて、先月終了した長期テーマでマグネシウムを扱った影響かと内心喜んでいたんですが、どうも良く話を聞くとそうではなくて、先週11月28日にメディアで報道された「酸化マグネシウムを服用して2名が死亡」という記事が原因だということがわかりました。
カンジダ菌の特集中ではありますが、急遽この話題でコメントさせてもらいます。
まず、報道されたメディアの内容を見ると「厚生労働省は27日、下剤として使用される医療用医薬品「酸化マグネシウム」を服用した2人が死亡したと発表した。厚労省は、副作用との因果関係を「否定できない」としており、添付文書を改訂して注意を呼びかけている酸化マグネシウムは腸の中に水分を引き寄せて腸の運動や排便を助ける効果があり便を柔らかくする作用がある一方で不整脈や呼吸抑制などが起こるマグネシウム血症となった事例が平成17年4月~今年8月までに15例発生し、このうち70代男性と90代女性が死亡した。高齢者に長期間処方しているケースも多いことから厚労省は血液中のマグネシウム濃度の測定など十分な観察をするよう製薬会社に使用上の注意の改訂を指示した。」
とこのような内容でした。
まず、私が目を引いたのは赤太字の部分です。これは報道側の情報不足であればいたしかたないですが、この内容を国民が見たらば「腸の水分を引きよせて腸の運動や排便を助けるのは酸化マグネシウムだけなのか・・」と誤解をあたえることになるでしょう。このような作用は酸化マグネシウムだけの作用ではなくもともとマグネシウム(元素としての)そのものにある作用ですから、どのようなマグネシウムを飲んでも量が多ければ同じ作用を示すことになります。酸化マグネシウムは中でも元素としてのマグネシウム量が最も多い形のマグネシウムです。
次に不整脈や呼吸抑制についてですが、先月終了したマグネシウムの長期テーマブログを見ている方はおわかりのように、筋肉組織を緩め弛緩させる作用はマグネシウムの大きな役割の1つですから、当然服用量が多く、正常に吸収できる状態であれば必要以上に摂取することでこのような症状があらわれます。
そして、血中のマグネシウム濃度を検査してというくだりですが、ブログでも説明したように、マグネシウムやカルシウムは体内細胞組織が最も必要とするミネラルで、その必要量も他のミネラルに比べて想像以上に多いものですから、24時間絶え間なく血液中を一定のレベルで流れていて、体内の細胞組織に供給されなければ支障がでてきます。またカルシウムの吸収代謝にはマグネシウムが必要であることもブログで説明しました。このようなマグネシウムですから血液中のマグネシウムを分析してもその人の体内のマグネシウム量を十分に把握することは難しいといえます。

そもそも、酸化マグネシウム(通称:カマ)が何の目的でこのような高齢者に処方されたのか?
その患者の持つ既往症状の中や生活習慣の背景にマグネシウムが拮抗してしまうものがなかったのか?
その高齢患者の水分摂取量は年相応に必要十分であったか、また酸化マグネシウムを処方するときに水分補充の指導はしたのか?
その高齢患者の日常の食生活の背景にマグネシウムが含有されている健康食品や食材がなかったか?
その高齢患者の胃酸の分泌状態はどうであったか?
もし、便秘改善ということであれば、乳酸菌(ビオフェルミンRなど)を視野にいれなかったのか?

マグネシウムはカルシウム以上に体には必要不可欠なミネラルであることは何回も説明してきました。ですからマグネシウム自体の補給については現代の日本人(乳幼児から高齢者に至るまで)には積極的に摂取するべきミネラルの1つだと考えています。
便秘や腸の運動が緩慢になるのは原因背景があることも以前から説明してきました。仮に非常に重い便秘の症状があった場合、十歩譲ってマグネシウムを使うことを視野にいれたとしても、少なくとも対象となる人の年齢だけでなく生活習慣や食事内容、水分、健康食品やサプリメント、胃酸状態の背景を探り適格な量と飲ませるタイミングを指導することが重要であるはずです。

運動機能と能力が低下し、胃酸の生産分泌量も低下し、筋肉量も少なくなっている高齢者にとって必要なマグネシウム量は30-50歳の成人男女とは明らかに異なります。
それは生活習慣や食事内容、水分、健康食品やサプリメント、胃酸状態の背景を探ることで、すべてではないにしろかなりの情報が得られるはずで、一律な臨床検査の数値では把握できないでしょう。

この報道では高齢者のことが扱われていますが、私が心配なのは最近のダイエット目的で安易にマグネシウムがつかわれることです。もちろん排便を促すための。
そしてこのような報道があると、一律「マグネシウムが危険」という構図になってしまう国民性もまた心配です。

少なくとも自分の体内環境、年齢、食生活、生活習慣、現存する症状などを自らが知っておき、必要なマグネシウムを必要な量、最適な形のマグネシウムとして摂取することは重要なことであることには間違いのないことだと思います。

正しい知識を自分で取捨選択し、自分にとって何がYESで何がNOなのかを考えていただきたいと思います。
by nutmed | 2008-12-02 14:53