2008年 12月 05日
第502回 カンジダ菌と代謝タイプ
さて、今日はカンジダ菌と代謝タイプの関係についてです。
以前にこのブログで紹介した「代謝タイプ」ですが、カンジダ菌の影響で何らかの症状を持っている人の食生活背景を調べてみると、日本人に最も多い「炭水化物タイプ(Slow Oxidizer)」の人が多いことがわかります。
炭水化物タイプの人は、食べた栄養素を細胞内でエネルギーに変換するスピードが遅いエネルギー転換効率者(Slow Oxidizer)です。このタイプの方は、タンパク質や脂質をエネルギー源とするよりも炭水化物、特に摂取してから1-2時間で単純な糖(単糖類)として消費される精製漂白された米(白米)や小麦、砂糖などをエネルギー源とすることが多いタイプです。このエネルギー変換を長年継続しているために、栄養素をエネルギー変換するための時間が長く、エネルギー源を保持するために、少ないながらも常に炭水化物(菓子類を含む)を摂取していないとエネルギー、特に脳の働きが低下する傾向にあります。食欲もあまり強くなく、食事の量も回数も少ない方だと思います。このタイプの方で、喜怒哀楽が激しく、情緒が不安定な傾向にある方の場合、コーヒーなどのカフェイン依存症が多く見られます。
炭水化物タイプの食事でエネルギーを生産している人は、当然炭水化物の食材を多く食べるわけですが、炭水化物には血液を酸性にする作用があります。体は恒常性(ホメオスタシス)と言って常に極端に偏った状態(この場合には酸性になりすぎている状態)を中立的な状態に戻す働きを持っているために、多くの細胞が酸性とは逆のアルカリ性をつくりだそうとします。
一方、この炭水化物はカンジダ菌の大好物。そしてカンジダ菌はアルカリ性環境が大好きな菌ですから、炭水化物タイプの人はカンジダ菌にとって最高の宿主になるといえます。
炭水化物タイプの人だけということではありませんが、炭水化物タイプの人には食物を消化分解するための胃酸が少ない人が少なくないことも、カンジダ菌の繁殖を助長する原因にもなります。日本ではあまり聞きませんが、アメリカの栄養療法のドクターが口から大腸あたりにかけてカンジダ菌の増殖が疑われる場合に、乳酸菌(アシドフィルス)や酸性の強い食材を食べるように指導するのはこのような背景があるからなんです。
誤解を招くといけませんから追加しておきますが、炭水化物食=カンジダ菌の増殖=炭水化物食は避ける、という構図にはなりますが、炭水化物でも精製漂白した炭水化物ではなく、時間をかけてゆっくりと糖分に変化する構造が複雑な炭水化物(玄米や全粒小麦など)とともに、タンパク質、脂質、繊維質の割合を考えて食生活を改善していただきたいと思います。