第523回 2009年出会いシリーズ 戦うシェフとの出会い

今日の東京は昨晩からの雨もあがり、朝から気温が一気に上昇し3月中旬の陽気です。
先週月曜日に、昨年3月から木更津からほど近い「カズサアカデミアパークホテルオークラ」の広報の仕事をしている古い友人が数年ぶりにオフィスにやってきて、カズサアカデミアパークホテルオークラの総料理長にぜひ会って欲しいから週末に遊びに来てくれないか、とのことで早速先週末の土日に1泊でご招待に預かってきました。
第523回 2009年出会いシリーズ 戦うシェフとの出会い_d0070361_12202082.jpg

今日から数回にわけてここで出会った「ムッシュ高木」という総料理長にまつわる話題を少し紹介させていただこうと思います。

オークラアカデミアパークホテル総料理長 高木 裕美知(たかぎ・ひろみち)、通称「ムッシュ高木」さんに会った途端に感じたのはオーラで、とにかくパワーがあります。
第523回 2009年出会いシリーズ 戦うシェフとの出会い_d0070361_12183145.jpgムッシュ高木が考える食とは?
「私が提案しているのは「食べて健康になる」ということです。サプリメントではなく、食事で自分の肉体に取り入れていく。それには、まず「噛む」。噛むことで脳波に振動を与え、脊髄を通ってアクションを起こします。そうしないと、どんどん退化してしまうと思うのです。口に入れたものは30~70回も噛んで、咀嚼して、自分の唾液にある消化酵素が身体のために働いていくのです。私は噛むことを推奨するために、いろんな素材を使って料理を作っています。それが元気になる源と思っているからです。 」

ムッシュの話を聞くうちに、食に対するコンセプトが私のそれに限りなく近いこともあり、その話術だけでなく魅力に引き込まれていきました。ムッシュ高木の知識の広さと、その説得力の背景には、ムッシュが一流の料理人であるという単純な話ではなく、ムッシュの食に対する考え方を基本とした食材選択、調理方法、そして私が常に言っている人間の栄養素の消化分解、吸収と代謝のメカニズムを考えた食べ方、食べさせ方の基本理念がしっかりと息づいているからにほかありません。私も栄養学者ではありますが、より人間の「食べる」「喰う」という行動の現場に近いところにいて、自らの経験と自己啓発によって得てきた知識、それに加えてムッシュも持つ感性と、「おいしく食べる」という料理人ならではの感覚によって作りあげられてきたもので、私がウンチクを話すよりも一層説得力があることは言うまでもありません。
土曜日の夕食はムッシュ高木考案のメニューをいただきました。
第523回 2009年出会いシリーズ 戦うシェフとの出会い_d0070361_12524519.jpg

ムッシュ高木は、極力地元千葉県産の素材を料理に使いますが、地元素材の持ち味を引き出しおいしく食べる、という単純なものではないことは味わってみてわかったような気がします。昨今は、有名処のレストランシェフが地元素材にこだわったメニュー開発をして振る舞うことが少なくありませんが、ムッシュの料理には人間の栄養素の消化分解と吸収のしくみを考えた調理の仕方、ソースの作り方、組み合わせ方の妙があるように思います。また、コタラヒムやカバノアナタケなどの機能性素材やクジャクヤシから作られる「キルト」という甘味料などを食材やソースに積極的に取り入れていることには目を見張ります。さらに私が驚いたのは、東欧では母乳の代替品として出産直後の新生児に与えられている「ナリネ菌」で作られたヨーグルトを積極的に使われていることです。ナリネ菌は生体内でビタミン類および乳酸の合成促進能が高く、腸からの吸収を助けるプロバイオティクスですが、ムッシュ高木はこの菌をアルメニアから直接伝授してもらっているということでした。

そんなムッシュ高木が食に関するフォーラムで講演をするそうですので、興味のある方はぜひムッシュの話を聞いてみると、また目からウロコかもしれませんよ。農水省主催の「ごはんで給食フォーラム」は このサイトをチェックしてみてください。

次回はムッシュ高木考案した素材について・・・
by nutmed | 2009-01-19 13:02