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第541回 ビタミンK 最終章

毎年この時期になると我が家の庭の桜の蕾を1つつまんで、今年の花の作柄を見ています。
昨日の日曜日に1つつまんで見たところ、今年は昨年よりも少し早く、額になる部分が緑に色づきはじめていました。このまま雪がなく、暖かくなってしまうと逆に桜の花には良くないそうで、今月にはもうひと冷えしてもらったほうが桜にはよさそうです。

さて、今日はビタミンKの最終回です。
いままでお話してきたようにビタミンKって以外に重要なビタミンの1つでもあるんです。
今回のテーマは質問も結構多かったですね。 そこで最終章の今回はいくつかの質問に公開回答してみたいと思います。

1、1日に摂取する必要があるビタミンKの量はどのくらいでしょうか?もちろん消化吸収のことも考えた必要量を教えてください。
以前のブログでも紹介したように日本では成人男女でも60-80μg(マイクログラム)と言われていますが、現代人の食生活や消化の働きを考えると私は100μg(マイクログラム)ぐらいが妥当だと思います。この量を摂取しようとする場合、サプリメントなどは必要ないと思います。たとえばブッロコリー30gほどには約100μg(マイクログラム)のビタミンKが含まれていますし、海苔なども最適な素材です。

2、ビタミンKは食材から適度に摂取できることはわかりましたが、ビタミンKが過剰摂取になるとどのようなことが起きる可能性がありますか?また過剰摂取の注意点を教えてください。
ビタミンK1およびK2については過剰に摂取しても毒性がないことが報告されています。ただ、いくら摂取しても大丈夫ということではなく、他のビタミン・ミネラルなどとの関わりや影響もありますから注意は必要です。ビタミンK1およびK2については1日あたり1000μg(=1mg)は大丈夫だという報告があります。一方で、合成されたビタミンK3(メナジオン)は人体に悪影響があることが多数報告されていますので注意してください。ビタミンK3の過剰摂取は赤血球が壊れることによって発症する溶血性貧血や黄疸症状など肝臓の働きに影響を及ぼします。特に、遺伝的にグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PDH)が作れない人の場合には溶血を引き起こします。

日本ではビタミンK3はあまり使われなくなった素材で、医薬品でも使用されない成分ですが、サプリメントや健康食品の1部ではビタミンK3を配合したものが出回っているようなので、もしラベルに「ビタミンK」とだけ表記されている場合には、そのビタミンKがK1、K2またはK3なのかを確認するといいと思います。

もう1つ参考までにビタミンK2(メノキノン)が不用意に過剰になってしまうケースを紹介します。胃潰瘍で医師から処方される胃酸の分泌を抑制する薬(プロトンポンプ阻害剤)がありますが、この薬によってビタミンK2の過剰状態を作ってしまうことがあります。
強い酸である胃酸は細菌の繁殖を抑制する作用を持っていますが、この薬で胃酸の分泌を抑えてしまうことによって細菌の繁殖を高めてしまう可能性がありますが、これらの細菌の中には小腸でビタミンK2を生産する細菌がいます。これによって、ビタミンK2を過剰に作り出してしまうことがあり、食事で摂取したビタミンK以上の量が体内に蓄積することになります。
胃酸の生産を抑える薬はほかにもありますし、単純に胃酸を中和してしまう胃薬(カルシウムやマグネシウム、アルミニウムがふくまれるものなど)でも同様のことが起きる可能性はあります。


3、ビタミンKが不足する原因はありますか?
ビタミンKは広範囲な食物から摂取可能であり、また腸内細菌が合成可能であることから、欠乏状態に陥ることは非常に稀ですが、以下の場合にはビタミンKの不足になることもありますので注意してください。
①腸の状態が悪い場合
②腸に疾患を持っている場合
③抗生物質の多用
④肝臓病
⑤グルコース6リン酸(G6PDH)の不足
⑥膵嚢胞性繊維症
⑦慢性的な下痢
⑧慢性的な腸障害
⑨手術前
⑩妊娠後期
⑪授乳期

by nutmed | 2009-02-09 14:59