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第563回 メタボリックシンドロームの判定に思うこと

今年の連休は例年と異なり飛び石が多いと思っていたら、不況の影響もあってか、特に製造業では連続16連休なんて企業もあるそうですね。おまけに休日祝日土曜日の高速料金一律¥1000なんて小手先の内需拡大策もあったりするので、車での大移動でいずこも大渋滞が予想されています。
私ですか? 連休中は積み残しの原稿書きと読み残しの原書読書が70%、残りはいつものようにストレス解消のために趣味のバイクでプラッと新緑を愛でにいく予定でいます。

国の肝入りでスタートしたメタボリックシンドロームについては、国民性もあるのでしょうか、最近では以前ほど話題にならなくなりましたね。以前に健康診断のことを書いた記憶があるのですが、メタボリックシンドロームも同様で、あまりにも画一的な基準で判定をされてしまうことに疑問を感じていたところ、海の向こうアメリカでも同じことを考えている友人がいたようです。
日本ではウェスト周囲が男性で85cm、女性で90cm以上あり、以下の3項目のうち2つ以上に該当する人がメタボリックシンドロームの疑いと判定されます。
1、中性脂肪が150mg/dl以上でなおかつHDL-コレステロールが40mg/dl未満
2、上の血圧が130mmHg以上かつ下の血圧が85mmHg以上
3、空腹時血糖の値が110mg/dl以上

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これがメタボリックシンドロームの判定基準で、これ以外には何もありません。
私が疑問に感じているのは、人間の体内の脂と糖分、そして血圧は食生活や運動の有無だけでなく、「性別・年齢・食事の仕方・ストレスの大小・採血の時間」によって大きく変化するもので、それだけではなくその人が赴いている仕事の環境によっても大きく変わるということが何も加味されていないということです。毎日朝から夕方まで肉体労働をする人と、1日中デスクワークをする人では体内の脂質と糖の消費量、代謝システムはまるっきり異なるわけです。
このような背景をもって生活している人を、一律同じ数値の枠組みで分けてしまい、「あなたはメタボリックシンドロームです」と判定してしまうことが果たして国が考えている生活習慣病予防の促進につながるのでしょうか。
私の友人のテキサス工科大学の研究者が偶然同じようなことを疑問に感じていたようで、彼はまず職業に注目しました。
少なくとも1日6時間デスクワークをしている40歳代の男女と、少なくとも1日5時間以上肉体労働をしているビルの建設作業員の40歳代の男女の血液中の中性脂肪、コレステロールを抜き打ちで協力してもらって調べました。採血は午前9時と午後6時の2回お願いをしましたが、ビルの建設作業員のほうがデスクワークの人たちに比べHDL-コレステロールも血糖値も午前午後ともに平均して低くほとんどの人が「基準値」内であったそうですがビルの建設作業員のほうが午前中の中性脂肪の値は平均して高く、基準値を上回る人も少なくなかったそうです。しかし、午後6時に採血した中性脂肪の値ではデスクワークの人たちは午前中とあまり変化が見られなかったのに対して、ビルの建設作業員では午前中よりも数値が低くなっている人が多かったということです。彼はこの背景として肉体労働者ではエネルギーのもととなる中性脂肪のキャパシティーが高いのではないかと考えているようです。
これがすべてに当てはまるわけではないかもしれませんが、人種の違いだけでは片づけられないほど、人間の体内環境がライフスタイルや仕事の環境で変わるkとではないかと思います。

私がカウンセリングを行っているクライアントの中に、会社の健康診断で「あなたはメタボリックシンドロームです」と告げられて以来、気分が落ち込みがちになり、薬を飲まないと眠れない状態になった男性が1人います。彼は40歳半ばでそれまでは家族を大事にし、仕事も確実にこなしていく、中肉中背のいわゆる脂がのった男性でした。彼の弁を借りるのであれば「メタボリックシンドロームなんて対岸の火事くらいにしか思っていなかった。自分には関係のない話だと思っていた。人事課からメタボリックシンドロームの食事、運動指導の通知が届いたときには目の前が真っ暗になったような・・・」
私はある種の「医原病」のような感じさえ受けました。もちろんメンタルケアの不充実の問題もあるでしょうが、一律同じ数値の中だけで判定するのではなく、判定する側がその人の背景にある生活、仕事職種、ストレスなどの環境要因を十分に理解把握した上でより詳細な判断、その後の指導ができるのではないでしょうか。
by nutmed | 2009-04-27 14:06