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第564回 妊娠初期の妊婦には緑茶は注意!?

明日からの本格的なGWを前に、今日の東京はこの暑さも加わって何だか気の抜けたビールのようにキレのないダラダラとした様相です。昨日と1昨日は携帯電波の届かない群馬の山奥でゆっくりと積み残した原稿を書きあげ、読み残した本を読んできました。

さて、今日の話題は日本人には切っても切れない「緑茶」の話です。
アメリカのシアトル在住の私の友人のドクターから緑茶に含まれるカテキンと妊婦について、昨晩メールがありました。カテキンは日本でもポピュラーなフラボノイド素材として浸透しています。カテキンには強い殺菌作用があるほか、抗酸化作用が強く動脈硬化、心臓病、高血圧、アレルギー、虫歯、口臭をおさえる働き、抗がん作用も報告されている素材です。
このカテキンに妊娠中の胎児にネガティブな影響を与える作用があり、少なくとも妊娠初期3か月から5か月目まではカテキンが豊富に含まれる食材の摂取には十分注意するべきだという議論が、今アメリカで持ち上がりそうだというものです。
ことの発端は2000年10月にアメリカのアトランタにあるCDC(米国疾病管理センター)Center of Desease Control)が発表した「妊娠中に飲むお茶と二分脊椎症と無脳症の胎児妊娠の危険性」という報告にはじまります。
このCDCの報告書の中で、妊娠初期(3-5か月)に1日あたり1杯以上のお茶を飲んでいた妊婦の場合、二分脊椎症と無脳症の胎児を妊娠する危険率が高くなるというものです。報告書の中では具体的に、1日あたり1-2杯のお茶を飲んでいた場合には2.1倍、3杯以上のお茶を飲んでいた場合には2.8倍危険率が高くなると報告されています。
二分脊椎の話は妊娠をした女性の多くが産科のドクターやマタニティ雑誌などからの情報で知っていることと思いますが、生まれつき脊椎の周囲を包む皮膚が完全に閉じず一部開いたままの状態にあることをいいます。脊椎の中には脳からの命令を伝える神経の束(脊髄)があるために、運動機能と知覚が麻痺するような症状を持つことがあります。
何故お茶に含まれるカテキンがこのような影響を及ぼすかの原因はまだ明確にはなっていないようですが、カテキンには胎児期の脊椎を形成するために重要なビタミンの1つである「葉酸」の働きに影響(おそらく活性型の葉酸への変換工程を阻害する)を及ぼす可能性があるといわれています。
「葉酸」と言えばタニティ雑誌の情報から始まり今では日本中の妊婦さんや妊娠を予定している女性が産科のドクターに処方をお願いするビタミンのナンバー1ですね。この葉酸はまさに二分脊椎症をはじめとする神経の損傷を予防するために妊娠初期には強く勧められているビタミンの1つです。

今日のテーマは実はここにあるわけではありません。確かにここまで書いてきたことは妊婦さんだけでなくその家族や妊娠を予定している女性にもインパクトのある話ですし、この話が日本のメディアで取り上げられればお茶の売れ行きにも大きな影響を与えてしまいます。

このメールをくれた私の友人のドクターが一番懸念していることは、「日本人の性格」なんです。彼はかつて3年ほど日本で勉強をした経験があり、その経験からこの話、それも日本人の食生活に深く浸透している「お茶」に含まれるカテキンの影響がいわゆる「面白半分、興味本位」でメディアで取り上げられたときには、日本人の性格からこぞって「妊婦にお茶は危険だ!」となってしまうだろうことを心配しているわけです。
私もこの2000年のCDCの報告書を見てみましたが、確かに「お茶に含まれるカテキン・・」と書かれていますが、「日本茶に含まれるカテキン」とはどこにも書かれていません。そもそもカテキンはツバキ科に属する大半のお茶に多かれ少なかれ含まれるフラボノイドで、もう少し詳しく言えば「タンニン」と呼ばれる渋みの基となる成分の根本成分がカテキンです。カテキンはお茶だけでなくプロポリスやアーモンドなどのナッツ類にも含まれているフラボノイドでもあります。

CDCの報告書の内容が正しいとは思いますが、このような「統計的な数値」(おそらく元々カテキンと二分脊椎症の関係を研究するつもりだったのではなく、妊婦さんの食生活や習慣などに関する色々なデーターがありその中で二分脊椎症とカテキンを結びつけて統計をとった結果ではないか・・)の中で原因背景の詳細は不明でも「現象」としてカテキンの摂取が多い女性には二分脊椎症胎児(乳児)が多かったことは事実として受け止め、現段階では妊娠初期(3-5か月)の妊婦さんはカテキンが含まれる食材には十分注意して、葉酸の補充にも心がける必要はあるかもしれません。
しかし、繰り返しますがカテキンは日本茶だけにふくまれているわけではないことを考えても、イコール「日本茶は危険」ということには決してならないということですね。
また、カテキンには今までに多くの研究者(その多くは日本人)によってすばらしい働きや効果が立証されていることも事実です。

八十八夜が過ぎて今が新茶の旬です。カテキンを含め日本茶が持つ有効な働きの恩恵を受けることも、考えてみる必要がありますね。
by nutmed | 2009-05-01 13:54