第593回 PMS:生理前症候群のタイプと改善

新型インフルエンザの警戒レベルが最高の6になりました。折しも先般のこのブログで紹介したインフルエンザ予防に「ビタミンD3」が有効であることをお話しましたが、今朝のTVのニュースでもビタミンDが予防に有効であることが報道されていましたね。多くの日本人はすでに舌の根が乾いてしまっていて「今更何で?」ということになるのかもしれませんが、WHOが今回警戒レベルを最高の6にした背景には、この秋から冬にかけてのシーズンに向けての警戒態勢を促すということもありますが、すぐ後ろに控えているであろうトリインフルエンザのパンデミックの恐怖があるからだろうと思います。まあ、何もなければそれはそれでいいことなんですが、今回の日本での教訓をどれだけの日本人が感じてくれるのでしょうか。まさに予防です。

さて、今日は以前から問い合わせの多かったPMS:Pre Menstrual Syndrome(生理前症候群)のタイプとその改善方法についてです。
日本ではPMSについては一律的な捕えられ方をされることが多いようですが、ここ15年ほどの間の研究によってPMSは少なくとも4つのタイプに大別できることがわかりました。
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1、タイプA(Anxiety不安のA):高エストロゲン低プロゲステロン型
PMSの中では最も多いタイプで、比較的神経質でいつも不安、緊張状態にあるような方。喜怒哀楽が比較的激しく、イライラする傾向が強く、生理が突然始まり比較的症状が重い方。これらの症状の背景が排卵直後の高エストロゲン低プロゲステロンであることが多い。
改善のための栄養素:ビタミンB6、トリプトファン、亜鉛、マグネシウム、必須脂肪酸(タラの肝油、フラックスオイルなど)

2、タイプB(Breast tenderness乳房の張りのB):高エストロゲン高プロゲステロン型
このタイプの女性にはストレスがPMSの症状を決定する最大の要因。イライラする傾向が強く、沈み込むよりは攻撃的になる傾向がある。体重が増加しやすく、血清中のアルドステロンが上昇しNaとKのバランスが崩れることで手足のムクみや胸部の痛みがある。日本人のPMSを持つ女性には少ないようですが、PMS全体の50%ほどはこのタイプである可能性はあります。
改善のための栄養素:ビタミンB6、亜鉛、マグネシウム、必須脂肪酸(タラの肝油、フラックスオイルなど)ビタミンC・ケルセチン
食事の注意点:塩分は控える。利尿作用のあるセロリ、冬瓜(とうがん)などを積極的に食べる。

3、タイプC(CravingのC):低血糖型
このタイプの女性は血糖の変動が比較的大きく、特に低血糖症状をともなう方が多いと言えます。それにともなって頭痛、疲労、気分の落ち込み、神経過敏の状態を招くことがあります。PMS全体の25%くらい。生理期間中は異常に甘いものを欲し、俗に「Sugar Craver」と呼ばれていますが、この時期にチョコレートをむしょうに食べたくなる女性もいて「Chocolate Carver」と呼ばれています。爪のミネラル分析検査をしてみるとカルシウムとマグネシウムの比が10:1以上である方が少なくありません。このタイプの女性が甘いものを欲する背景の1つには、血糖コントロールの低下と脳内ホルモンであるセロトニン、ドーパミン、GABAの合成が低下し、一過性のストレス状態に陥るために脳のエネルギー源である糖分を切望するため、または副腎の働きが低下することによって銅の需要が高くなるため、カカオに豊富に含まれる銅を渇望するためだと考えらます。

改善のための栄養素:クロミウム、ビタミンB6、ビタミンB群、亜鉛、銅、マグネシウム、必須脂肪酸(タラの肝油、フラックスオイルなど)ビタミンD3.特にマグネシウムは積極的に摂取
食事の注意点:少ない量で構わないので、1日に数回に分けて食事をして急激な血糖の上昇と下降を防ぐようにしてください。 特に砂糖・果糖・炭水化物の過剰摂取には注意。

4、タイプD(DepressionのD):低エストロゲン高プロゲステロン型
このタイプの女性は比較的気分が落ち込み、社交性の低下、物忘れが多く、不眠傾向にもあります。重い場合にはうつ状態になる傾向があります。このタイプは比較的アメリカ人に多いタイプでしたが最近では日本でも散見されます。排卵直後のエストロゲンおよびプロゲステロンを分析するとともに、鉛の高い蓄積が背景にあることもあるため、爪や毛髪でミネラル分析をすることも参考になるでしょう。
改善のための栄養素:ビタミンB6、マグネシウム、トリプトファン、ビタミンB群、必須脂肪酸(タラの肝油、フラックスオイルなど)ビタミンE
食事の注意点:海藻類を積極的に摂取し、消化が容易な食材を選択するように心がける。

代表的な栄養素の説明
ビタミンB6
稀にビタミンB6の服用量が多いことによって末梢神経障害や胃のもたれや嘔吐などを伴うことがありますが、P5P(pyridoxal-5-phosphate)のフォームではそれがないのでP5Pがお勧めです。P5Pは血中エストロゲンを低下させ、プロゲステロンを上昇させます。
ビタミンB6はセロトニン、ドーパミン、GABAの合成とマグネシウムの代謝を促進させ、筋肉の弛緩作用があります。ビタミンB6を中心とするビタミンB群の不足によって肝臓における過剰なエストロゲンの抑制ができなくなります。また、副腎におけるストレス耐性を低下させることで血糖のコントロールの働きが低下します

マグネシウム
マグネシウムは筋肉の弛緩や血管の拡張だけでなく、セロトニン、ドーパミン、GABAの合成にも不可欠なミネラルの1つです。また、血糖のコントロールにもかかわるミネラルで、低血糖のクライアントの中に爪や毛髪検査でカルシウムとマグネシウムの比が10:1以上である方が少なくありません。PMSの25%ほどの女性が甘いものを欲する背景の1つには、血糖コントロールの低下と脳内ホルモンであるセロトニン、ドーパミン、GABAの合成が低下し、一過性のストレス状態に陥るために脳のエネルギー源である糖分を切望するためだと考えられています。就寝前の空腹時がお勧め
マグネシウムは経口から服用することのほか、マグネシウムフットバスで皮膚から吸収させる方法も女性にはお勧めです。洗面器に入れた40℃ほどのお湯にマグネシウムソルトまたはマグネシウムオイルを30cc(g)入れ15分ほど足湯をします。またはマグネシウムオイルを入浴後に足の裏とふくらはぎにスプレーしてよくマッサージをします。

私がお勧めのPMSタイプ別けを考慮した改善のカウンセリングを実践してくれる医療施設は以下です。
神尾記念病院
青山外苑前クリニック
岡田クリニック(吉祥寺)
細野クリニック(東京京橋)
伊藤メディカルクリニック(太田区蒲田)
by nutmed | 2009-06-12 12:55