2009年 07月 02日
第607回 ミネラルは本当に吸収できているのか?
さて、今日は食材、特に野菜に含まれているミネラルについてです。
食品栄養素リストや、雑誌で紹介されている野菜に含まれているミネラル量を見て疑問に思っている方はいませんか? 私は大いに疑問を感じています。リストに掲載されていたり、雑誌で紹介されている野菜に含まれていると言われるミネラルの量そのものはある程度正確な数値なのだと思います。
例えば、「ブロッコリ100gにはマグネシウムが500mgがふくまれています」とういうくだりは皆さんにとってもごく日常目にする内容だと思います。どの野菜にそんなミネラルがどれだけ含まれているのか?という皆さんの関心が持ち上がったときには、ほとんどすべての方が「それだけたくさんのミネラルが含まれているなら健康にはいいだろう・・」ということを考えるのではないでしょうか? ここまでは私も納得はできます。
問題は、多くの方が「ブロッコリ100gにはマグネシウムが500mgがふくまれています」という表記を見た場合、100gのブロッコリを食べればマグネシウムが確実に500mg摂取できると考えてしまうことです。
以前からブログでは栄養素、特にミネラルについてはその性格と調理の仕方、また一緒に摂る食べ合わせ飲み合わせによって、吸収できるミネラル量は大きく変わることをお話してきました。
今日はこのブログでも頻繁に取り上げてきた比較的ポピュラーなマグネシウムを例にとってみましょう。
日本の栄養学食材リストに掲載されている一般的なマグネシウム量を計算すると、日本人の1日あたりマグネシウム(元素として)平均摂取量は600mgとなるそうですが、この数値は日本人が日常食べている食材を調べ、その食材に含まれているマグネシウムの量を計算して割り出したものです。血液や爪、毛髪などに含まれる体内のマグネシウム量を分析したものではないということです。
この600mgという数字を見ると日本人はマグネシウムを十分に摂取している思われるかもしれませんが、ここで考えなくてはならないことは、食材の加工精製過程および調理過程におけるマグネシウムのロス分です。緑の濃い野菜(この色はマグネシウムをリッチに含むクロロフィルで、植物が光合成をするときに必要な物質)、小麦、大豆などにはマグネシウムが豊富に含まれているとされていますが、漂白精製、脱脂行程、油や水による調理によって平均85%のマグネシウムが失われます。例えば、小麦100gには575mgのマグネシウムが含まれているとされていますが、胚芽を脱穀し漂白精製することで約400mgのマグネシウムが失われる可能性は非常に高いということです。また、マグネシウムは魚(脂ののった)や動物性のタンパク質が豊富な食材と一緒に食べることで吸収が低下することがあります。阻害する可能性があります。
栄養医学研究所で8年前から行っている爪による体内のミネラル分析は3000例を超えようとしていますが、明らかに1日あたり600mgのマグネシウムを吸収しているとは思えない方が非常に多いという実態もあります。
ここで私の疑問ですが、アメリカやEUでは、雑誌で紹介されている食材に含まれるミネラル量を掲載する場合、単にその食材に含まれているミネラル量を紹介するだけでなく、それをどのような調理方法、どのような食べ方をしたら最も効果的に吸収できるかをあわせて紹介していることが少なくありません。それは消費者が一番知りたい情報であるはずなんですが、日本ではそのような紹介のされ方をしている雑誌記事やサイトを見たことがありません。
多くの方がこれだけ健康を意識して毎日の食材選びをするようになった日本ですが、ブロッコリにはマグネシウムが豊富に含まれているという知識はあっても、ミネラルの性質や調理方法によって、また食べ合わせによって、実はそのマグネシウムのほとんどが摂取できていない可能性は否定できません。
目くじらをたてて食の安全を問題にすることは大いに結構なことですが、健康被害を考えるのであれば、もう少し消費者を正しい方向に導くために食材の安全な選択方法だけでなく、効果的にその食材に含まれるミネラルの恩恵を受けるための調理方法や食べ合わせの教えとしての「食育」をするべきだと思います。
その上で、危険性のあるような物質が体内に入ってきても人間が本来持っている自浄能力、排泄能力、治癒力を高めるための栄養素をしっかり吸収するべきではないかと・・・


