第609回 歯の健康管理 その2

先週末の土曜日は中学校のときの同窓会が横浜であったので久しぶりに同窓の友たちと旧交をあたためてきました。まあ、当り前のはなしではあるんですが、自分は毎日鏡をみているだけなのでなかなか気づくことがないものの、同じ年の同窓生に会うと「お前も老けたな!」という言葉があちこちで飛び交うのもいい年齢になった自分を再確認するいいチャンスだと思いました。

さて、今日は歯の健康についてです。
歯のオーラルケア商品のCMは、日本だけでなく世界中のTVコマーシャルで常に上位5位に入ってくるほど、市民の日常生活に密着しているものですね。人間の口の中には300種類以上のバクテリアが生存していて、その数は100億個を超えるとも言われています。腸内細菌の種類が100-200種類と言われているので、口の中に住んでいるバクテリアの種類がいかに多いかがわかりますね。
この15年ほどの間に世界中で口の中のバクテリアと病気の関係についての研究が盛んに行われていますが、従来のように口の中に住む全てのバクテリアが人間にとって悪いことばかりではないことが分かり始めています。それでもバクテリアの異常な繁殖が直接的にも間接的にも体内環境全体に影響を及ぼし、心臓の働き、胃腸などの消化器の働き、肝臓の働き、脳神経の働きなどに少なからず影響を与えることも分かり始めています。
私が最近のTVのコマーシャルで気になっていたのは「カンジダ菌」のCMです。或るオーラルケア商品のメーカーのCMで鶴見大学の先生が登場してカンジダ菌が口腔内の環境に及ぼす影響を説明して除菌を勧めているものですが、今までのオーラルケア商品と言えば「歯周病菌・・」「歯を白く・・」「歯茎を強く・・」「知覚過敏・・」はよく耳目にしても今回のCMのように具体的な「カンジダ菌」が出てくることはまずなかったように思います。
私は以前からカンジダ菌と栄養素の吸収や神経機能、ストレスなどの関係に強い興味を持ってカウンセリングや除菌も行ってきたこともあり、今回のこのCMを通じて女性だけでなく世の中の人たちにカンジダ菌というキーワードが刷り込まれることは大歓迎なんです。
多くの方が、口の中(歯)のバクテリアのことは知っていても、歯周病や虫歯、口臭というキーワードで覚えていることと思います。たとえば皆さんが気にする口臭の多くは皆さんが寝ている間に口の中(歯の隙間など)に残った食物をバクテリアが餌として分解し終えて生産するブタンなどのような硫黄化合物が原因であることが少なくありません。このために最近では歯科クリニックでも就寝前のマウスリンスを勧めるようですが、多くのバクテリアにとってジメジメした環境よりも、適度な温度と比較的乾いた環境のほうが増殖しやすいこともあって、アルコールが含まれたマウスウォッシュやリンスを使うとかえって口の中が乾いてバクテリアが繁殖しやすい環境をつくることもあるようですね。お酒を飲んで歯もろくに磨かずに寝てしまった翌朝に口の中がいつもよりネバついていると感じるのもアルコールによって口の中が乾燥するためと、鼻腔が詰まって口で呼吸をすることでなおさら乾燥が進みバクテリアが繁殖している状態になっていると考えられます。

しかし、口の中のバクテリアの繁殖は口臭の問題だけでなく、様々な体の症状の原因を作る可能性が非常に高いことがわかりはじめていますが、その背景には口の中のバクテリアの増殖が人間の免疫システムに影響をあたえることによって起きるものと考えられています。
人間の体はウィルスやバクテリアの侵入(感染)、増殖がはじまるとそれらを無力化するために免疫システムが動き出し、特殊なタンパク質(サイトカイン)を作り血液の中に放出され、ウィルスやバクテリアの情報(どんな種類、以前に感染したことの有無など)を集めますが、このサイトカインの中にはそれを無力化するために働くものもあれば細胞を破壊するものもあります。鏡で自分の口の中をのぞいてみるとわかりますが、口の中は血管がたくさん集中しているだけでなく、薄い粘膜で保護されているにすぎませんので、日常的に口の中にバクテリアが増殖していることによって、このサイトカインが活発に働く引き金をひいいてしまうことがあります。これらのサイトカインが日常的に体内の血液中を巡ることによって、口から遠く離れた細胞組織、たとえば血管、心臓に直接的に影響を及ぼすことがあります。また、すい臓に影響を及ぼす(膵臓の細胞を破壊している可能性)ことも確認されていて、糖尿病の原因となるインスリンの働きに影響している可能性もあり、これらのバクテリアの除菌管理をすることによって血糖コントロールが良好になることも報告されています。そのほか2005年にアメリカで発表された研究によれば、口の中のバクテリアの増殖と早産、低体重児には強い関係があることが報告されています。

このように口の中のバクテリアの繁殖は、想像以上に体内環境に悪影響を与えることが多く、日常的に口腔内のケアをすることが未病、予防のためには不可欠であるといえます。
マウスリンスや薬で除菌管理をすることはもちろん悪いことではありませんが、副作用がなくナチュラルな方法で皆さんの身近にあるものを使って除菌管理ケアができればより長続きするのではないでしょうか。
その方法については次回に・・
by nutmed | 2009-07-06 13:52